ビジネスフォン(ビジネスホン)を導入する際に、費用を抑えるために自分で設置できないかと考えられる方もいらっしゃるかと思います。
個人事務所や店舗など規模が小さな拠点の場合、自分でも設置できそうだと思われるかもしれませんし、中規模以上のオフィスでは設置費用としてかなりまとまった金額が必要になるケースが多くなります。
結論からいえば、家庭用の電話機と異なりビジネスフォンを自分で設定することはできません。原則としては、専門の業者に依頼しなければなりません。
今回の記事ではビジネスフォンを自分で設置したいと考えられている方に、なぜ自分で設置できないかについて解説いたします。
▶目次
1、ビジネスフォンを自分で設置できない理由
ビジネスフォンを自分で設置できない理由は、大きく2つあります。
ビジネスフォンを設置するためには資格が必要とされているということと、ビジネスフォンの設置は非常に専門的な工事であり技術的に難しいからです。
ビジネスフォンの設置を行うために必要な資格
ビジネスフォンの設置工事を行うためには、工事担任者という国家資格が必要です。工事担任者は、工事の種類や規模によって以下のように区分がわかれています。
アナログ回線・ISDN回線の工事
- AI第三種
- AI第二種
- AI第三種
1回線のアナログ・ISDN回線
50回線以下のアナログ回線・50ch以下のISND回線、200回線以下の内線
アナログ回線・ISDN回線・内線(回線数の制限なし)
インターネット回線・IP電話回線
- DD第三種
- DD第二種
- DD第三種
1Gbps以下のインターネット接続工事
100Mbps以下のネットワーク工事、1Gbps以下のインターネット接続工事
デジタル回線に端末設備などを接続するすべての工事
専門の電話回線工事業者が工事を行う場合でも、工事スタッフが保有している資格の範囲内でしか工事を行うことができません。もちろん、ご自分で電話回線の工事を行いたい方は、これらの資格を保有されていない限りは法律上行えない、という結論になります。
万が一、工事担任者以外がビジネスフォンの設置工事を行い、そのことが発覚した場合には、電気通信事業法の規定により罰則が科される場合があります。(2年以下の懲役または50万円以下の罰金)
技術的に難しい
ビジネスフォンの電気工事の主な内容を簡単に説明すると、以下の通りになります。
- 主装置の設置・設定
- 各電話機子機の設置
- 配線(主装置と外部、主装置と各ビジネスフォン子機)
これらに伴って、必要な個所にハブを設置したり、壁に配線を通すための穴を空けたり、ビジネスフォンの設定を行ったり、といった作業が必要になります。
これらの作業の中で特に難易度の高いものは、主装置の設定と配線作業ではないかと思います。
主装置とは、オフィスの電話機と外線を接続したり、ビジネスフォン同士を内線でグループ化したり、留守番電話や着信拒否設定などの設定を行ったりするための機器です。主装置がなければ、ビジネスフォンは一切機能を果たしません。
主装置を正常に設置するためには、配線を一本ずつ正確に接続して、主装置の初期設定を正確に行う必要があります。主装置には設定方法の説明書が付いていますが、説明書は電話工事業者向けに書かれているため、一般の方が読んでも理解できないでしょう。
また、これらの作業を行うために、ハブやケーブルをはじめとしたこまごまとした材料が必要になります。電話工事業者に依頼してもこれらの金額はかかりますが、必要な材料を過不足なく購入するための手間や時間が余分にかかってしまいます。
2、設置工事費用を抑える方法
ビジネスフォンの設置工事費用を抑える方法について解説します。
複数の業者に見積もりをとる
同じ工事内容であれば、格安で設置工事をしてもらえる業者に依頼した方がお得です。
複数の工事業者に見積もりをとることで、価格の基準が明確になり、費用面での相談や交渉もしやすくなるかと思います。
金額の総額だけではなく、工事の補償内容や工事業者の実績などを踏まえて総合的に判断しましょう。
クラウドPBX(クラウドビジネスフォン)を検討する
オフィスにPBXを置かないタイプのクラウドPBX(クラウドビジネスフォン)は、設置工事が大きく軽減されます。また、主装置の設定も不要になります。
その代わりに、月々のランニングコストが発生することと、ビジネスホン電話機本体の機器代金が割高にはなりますが、工事費用の削減という点でも大きなメリットがあります。
スマートフォンをビジネスフォンの内線として使用する際には、設置工事費無料で導入できる場合もあります。
くわしくは『クラウドPBXの教科書』というサイトで情報を入手することができます。
3、まとめ
この記事では、オフィスのビジネスフォン(ビジネスホン)設置工事を自分で行うことができない理由について解説しています。
ビジネスホンの設置工事を自分で行えない理由は大きく2つあります。1点目は、設置工事のためには工事担任者という国家資格が必要であり、無資格で工事を行った際には罰則規定があること。2点目は、設置工事の内容が非常に専門的で難しいため、一般の人には困難なことです。特に主装置の設置・設定は困難です。
工事費を少しでも抑えるには、複数見積もりの上、業者への相談が有効です。また、イニシャルコストが軽減できるクラウドPBX(クラウドビジネスフォン)を検討するのも良いでしょう。